踊る 題字:囲碁


ユキノシタチュートリアル

第1版:【Jan. 17th 2002
第7版:【Jan. 16th 2006

※このドキュメントに対応するアプリのバージョン:2.0.1

このhtmlファイルはユキノシタインストールから、その基本機能:棋譜・詰碁問題・問題集の閲覧と作成方法についての簡単なチュートリアルです。


0.環境設定・インストール

ユキノシタはJava version 5.0で開発されています。そのためJava実行環境がない場合、そのインストールが必要です。

Version 1.X.XWindowsのバイナリ形式でしたのでJava実行環境は不要でした。ですのでVersion 1.X.Xからのアップデートユーザの方であっても、もしJava実行環境がなければ下記インストールが必要です。
Javaですので他プラットフォームでも(SWTのライブラリがあれば)実行可能だと思いますが、環境がないので未確認です。だれか興味がある方お願いします。

Java実行環境のインストール

※既にインストールされている場合は読み飛ばしてください。

Sunインストールサイトから手順に従って「ダウンロード」ボタンを押してインストールを行ってください。

ユキノシタのインストール

インストーラーは用意されていません。

ダウンロードしたYuki_?_?_?.lzhファイル(??はバージョン)をアプリ ケーションを格納するフォルダに解凍します。license.txtが使用許諾書になります(license_ja.txtは翻訳版で参考資料です)。使用許諾書に同意できる方のみご利用が可能です。

ユキノシタの起動方法

解凍したフォルダにあるyukinoshita2.exeをダブルクリックしてください。

Version 1.X.XではEditorとViewerの2つがありましたが1つに統合しました。
Version 1.X.Xに同梱されていたばりばりきっず形式からのコンバータはありません。該当機能もないので必要な方はVersion 1.X.Xから抜き出してお使いください。

1.棋譜の表示

ファイルの読み込み

まずは普通の棋譜を読み込んでみましょう。ユキノシタを起動します。メニューから【ファイル(F)→ファイルを開く(O)...】をクリックすると、ファイルを読み込むためのダイアログが表示されます。
 ユキノシタをインストールしたフォルダ内(たとえばC:\Program Files\Yukinoshita2)に、sampleというフォルダがあるので、sampleフォルダ内の“最古の連碁.sgf”を選択してください(右図上段)。

ユキノシタはそのsgfファイルが普通の棋譜であれば終局図を、詰め碁であれば配石図をダイアログ右端に表示します。
 終局図の読み込みには少し時間がかかるので、それを鬱陶しいと感じた方は、メニューの【ツール(T)→設定(P)...】より左ツリーのファイルを選択し、右欄に出る「ファイルダイアログの様式」を「OS標準」に設定してください。
 またファイルは複数選択できます。その場合、別のタブにそれぞれ読みこまれます。

今後sgfファイルの簡単な情報も同時に表示できるように変更する予定です。

クリップボードから読み込む場合、“(;”から始まるテキストをコピーし、メニューの【ファイル(F)→クリップボードからの読み込む(C)...】をクリックすると、自動的に読み込まれます。

WebのURLから直接読み込むこともできます。メニューの【ファイル(F)→Web siteから読み込む(W)...】をクリックするとURLを指定知るダイアログが表示されます(右図下段)。
 「URL:」のテキストボックスにブラウザなどからURLをコピー&ペーストしてください。入力エラーを減らす目的でフィルター処理を行っております。「自動判別」はURLからそのフィルターを自動的に選択することを意味します。OKボタンを押すとダウンロード処理を開始します。

現状Proxy環境には対応しておりません。今後対応する予定です。
 
 
 
 
 
 

表示サイズの調整と着手の進行

ファイルの読み込みに成功すると、右図上段のように表示されるはずです(“最古の連碁.sgf”)。盤面は左側に、対局情報は右側に表示されます。
 左側下段にはアゲハマと実行できる操作のボタンが表示されます。現在は閲覧モードですのでボタンは「移動」一つしかありません。
 対局情報の部分は3つのタブに別れています。
 初期表示の「局面制御」タブは、手を戻したり変化図を選択したりできるパネルで、その局面での情報(コメントなど)を表示します。
 右側上段にはプレイヤーの名前や段級などが表示されます。右側中段には何手目かや着手の場所、概説や変化図の有無などが表示されます。各着手ごとの解説(長文)と付箋(短文)は右側下部に表示されます。このファイルは解説も付箋も持たないので、右下が空欄になっています。
 「対局情報」タブ(右図中段)は対局情報に関連した全データが表示されます。
 「管理情報」タブは文字コードや碁盤のサイズなど、データのの基本的な属性が表示されます。

初期設定ではウィンドウを800×640としています。サイズの変更は可能なので適当なサイズまで拡大・縮小してください。内部の仕切りも動かすことができます。仕切りは少し膨らんだ棒として配置されています。自身の環境に合わせて調節してください。
 調整したサイズは保存することができ、次回起動からそのサイズで表示されるようになります。【表示(V)→レイアウト(L)→現在のレイアウトを保存(S)】をクリックすることで設定が保存されます

碁石の表示方法や、座標の形式、着手番号の表示などが変更可能です。メニューの【表示(V)】から変更してください。
 こちらの設定も保存することが可能で次回起動からその設定で表示されるようになります。【ツール(T)→設定(P)...】より左ツリーの「碁盤の表示」を選択し、右欄に出る設定値を指定して、OKボタンを押してください。

設定を変更した例を右図下段に示します。ここでは座標形式を「日本形式」に、石のラベルを「着手番号」に変更しています。

着手を進めるには、

  • 碁盤を左クリック】するか、
  • 碁盤にマウスカーソルを移動してマウスホイールを下向きにスクロール】、
  • 着手リストにフォーカスを移動してマウスホイールを下向きにスクロール】、
  • 着手リストにフォーカスを移動して↓】キーを押してください。

着手を戻すのは

  • 碁盤を右クリック】するか、
  • 碁盤にマウスカーソルを移動してマウスホイールを上向きにスクロール】、
  • 着手リストにフォーカスを移動してマウスホイールを上向きにスクロール】、
  • 着手リストにフォーカスを移動して↑】キーを押してください。
フォーカスがないとマウスホイールが利かない、左右ボタンが使えないなど、Version 1.X.Xと多少挙動が異なります。

 
 
 

参考図の表示

棋譜ファイルによっては参考図を持つものもあります。
 【ファイル(F)→ファイルを開く(O)...】をクリックし、sampleフォルダ内の“変化図.sgf”を読み込んでください。右側のリストの二手目の黒石に「+」マークがついています。そこまで着手を戻してましょう。すると、“A”“B”“C”と変化図の候補が表示されます(右図上段)。
 変化図を選択する方法は三種類あります。

  • 盤上における“A”“B”“C”の【各文字を左クリック】、
  • 盤上にカーソルを合わせ、“a”“b”“c”に対応する【各キーボードのボタンを押す】、
  • 右下にある“変化図候補”内の【ラジオボタンを左クリック】、
  • 変化図候補にフォーカスを移動してマウスホイールを上下にスクロール】です。

本譜に戻るには、

  • 盤上の“※”を左クリック】、
  • 盤上にカーソルを合わせ【スペースキーを押す】、
  • “変化図候補”の【本譜※を左クリック】、
  • 変化図候補にフォーカスを移動してマウスホイールを上下にスクロール】です。

二番目の変化図(B)を選択してみます。右側のリストの背景色が変わりました。白いところまでが本譜で、色のついた所から変化図に入ったことを示します。

変化図Bを選択し、12手目まで進めると、また変化図があります。ここで変化図Aを選択すると、選択地点から後のリストがまた違う色で表示されます(右図下段)。

ちなみにリストの背景が黒く表示されるのは最初の本譜のみです。分岐から戻る際の参考になるでしょう。

Version 1.X.Xにあった着手リストにフォーカスがある状態での、キーボードによる移動は今後実装する予定です。

詰碁を解く

詰碁の問題を解いてみましょう。
 メニューから【ファイル(F)→ファイルを開く(O)...】をクリック、sampleフォルダ内の“shikatsuFD001”を読み込んでください。
 右図上段のように表示されます。着手できる個所にマウスカーソルを碁盤に持っていくと薄く黒石が表示されます。  表示される碁石のサイズには上限値を設けています。大きすぎて見づらい場合は【ツール(T)→設定(P)...】より左ツリーの「碁盤の表示」を選択し、右欄に出る「碁石の最大サイズ」を変更してOKボタンを押してください。指定したサイズで抑えられるようになります(右図下段参照、値は60を指定)。

Version 1.X.Xであった棋譜と詰碁で配置を変える仕組みは、タブエディタ形式に変えた関係で廃止しました。

黒先白死の詰碁です。ナカデになるように【左クリック】すれば死…初歩の初歩ですね。正解すれば○が、間違えると×が表示されます。
 たとえ間違えても、【やり直す(R)】ボタンを押すことで、何回でもやり直せます。いろいろな所をクリックして使い方に慣れてください。

着手音や効果音が気になる方は、【ツール(T)→設定(P)...】より左ツリーの「効果音」を選択し、「効果音を鳴らす」チェックボックスをクリアしてOKボタンを押してください。

詰碁問題集を解く

最後に詰碁の問題集の使い方を説明します。
 【ファイル(F)→ファイルを開く(O)...】をクリック、sampleフォルダ内の“shikatsu.sgf”を読み込んでください。先ほどと同じ問題が表示されましたが、【次の問題(N)】いうボタンが押せるようになっています。
 問題に答えていれば(たとえ間違えていても)次の問題に進めます。適当に答えてどんどん進めてください。カーソルで各ボタンを押さなくても、対応するキーを押せば同じ動作を行います。右手をマウス、左手をキーボードに置いておくと、便利だと思います。
 残り1題になった所で、“あきらめる(G)”と“次の問題(N)”のボタンが消え、この問題を解いて終了です。

Version 1.X.Xにあった残り問題数を表示する機能は今後実装する予定です。

問題集の設定次第で、碁盤を回転させたり、制限時間を設けたり、同じ問題を違うように見せたり、出題順番を入れ替えたりもできます。

制限時間を設ける機能は今後実装する予定です。

2.棋譜の編集

初めに何もない状態から棋譜を作ってみましょう。
 メニューから【ファイル(F)→新規作成(N)→棋譜(G)→十九路→互先】をクリックします。
 棋譜を現在のファイルに追加するか、新規にファイルを作成するかを確認するダイアログが表示されます(右図参照)。「(新規にファイルを作成)」のみが選択可能になっているはずですので、この状態のままOKボタンを押します。

現在開いている棋譜ファイルに追加したい場合、そのファイルが編集モードになっている必要があります。詰碁の場合も同様です。

編集モードと閲覧モード

OKボタンを押した直後は右図のようになっています。
 操作ボタンの欄に「移動」に加えて「着手」「変化図」「配石」「装飾」「ライン」のボタンが増えています。現在は「着手」のボタンが押されているはずです。これらのボタンを押すことでモードを切り替えます。

右上にある「この棋譜を編集する」のチェックボックスを外してみてください。操作ボタンが「移動」のみになり右下のテキストボックス2つが編集不可になります。チェックボックスをつけると、先ほどの状態に戻ります。

このチェックボックスで石や記号の追加ができる編集モードと、ファイルの編集ができない閲覧モードを切り替えます。

着手の追加と修正

Version 1.X.Xでは「Shiftボタンを押しながらクリック」のような方法で着手の追加を行っておりましたが分かりづらいので廃止します。
現状一部類似の機能がありますが、一旦整理しなおす予定です。

着手モードでは着手をリストの末尾に追加することができます。碁盤の上にカーソルを持っていくと矢印の横に●がつきます(右図上段)。この状態で【左クリックする】と石が置かれます。右上星に打ってみましょう。盤上の黒石の上にマークがつき、現在の着手であることを示しています。また着手リストも更新されます。
 カーソルをずらすと矢印の横に○がつきます。今打った星の位置にカーソルを移動すると○が消えます。これは「石の上に石は置けない」ことを表しています。
 また碁盤の外側にカーソルを移動すると「PS」という文字が○の上につきます。これはパスの着手を意味します。
 白の着手は左下の星にしましょう。黒右下星、白左上星、黒左辺星の三連星の布石になったとします(右図中段)。

黒を三連星ではなく、右下に小ゲイマへのカカリに修正してみます。五手目であることを確認して、碁盤の上で【右クリック】してください。黒五手目の着手が削除されました。そして左下小ゲイマにかかってください。白は小ゲイマに受けてみてください。

着手の追加は最後の着手の後に、着手の削除は最後の着手に適用されます。途中に着手を追加したり、途中の着手を削除することは出来ません。
 着手の進行についての操作方法はマウスクリック以外閲覧時と同じで、【ホイール】または着手リストにフォーカスがある状態で【】キーで進み、【ホイール】または着手リストにフォーカスがある状態で【】キーで戻ります。

着手を移動するとマウスカーソルが変化し○や●の上に「+」がつき、操作ボタンが「変化図」に切り替わります。これは変化図が追加できることを表しています(右図下段)。
 変化図の追加方法についてはこの後ろの節で説明します。

確認すると、着手の追加と削除は「着手モードを選択後」、「最終局面において」【左クリック】で追加、【右クリック】で削除です。

変化図の作成

変化図は、棋譜のどの局面においても追加することが可能で、分岐の数に制限はありません。さきほど二連星から黒カカリ、白受けという局面を作りましたが、このカカリのとき三連星に打った変化図を作ってみます。
 五手目の黒カカリの局面に戻して、碁盤の上にカーソルを持っていきます。カーソルに“+●”のマークがつき操作ボタンが「変化図」に切り替わります(右図上段)。この状態で左クリックすると、変化図が生成され、右端のリストの●の左上に「+」マークがつきます。この段階で操作ボタンが「着手」に戻ります。
 そのまま今度は右上白小ゲイマガカリ、黒一間バサミ、白三々、黒オサエ…と定石型まで打ってください。右図中段のようになったでしょうか?
 次に、黒九手目で一般には損とされる逆(Q16)方向に押さえた変化図を作ってみましょう。九手目の局面を出してから、【左クリック】です。そのまま白飛び出すまで、打ち継いで下さい。右図下段のようになるはずです。

変化図内の全ての着手を削除すると、その変化図自身も削除されます。右図下段の状態から、着手の削除【右クリック】を8回行ってください。最初の変化図の九手目に戻ります。

もう一度逆オサエの変化図を作成して、右図下段の局面を作ってください。最初の変化図に戻り、着手を進めて右図中段の局面にしてください。九手目に「変化図」と表示されている以外は、右図中段と同じように表示されるはずです。
 そこから着手の削除【右クリック】を5回行ってください。着手リストが伸び、逆オサエの変化図が後ろに続きます。

Version 1.X.Xでは分岐も全て削除していましたが、Version 2.X.Xでは本譜が削除された場合は、第一の分岐を本譜に昇格させて対応するようにしました

まとめると、変化図の追加は【左クリック】、変化図の削除は変化図内の全着手を【右クリック】で削除することで行なわれます。

記号の付加

Sgfフォーマットにおいては、盤上に表現できるいくつかの記号が定義されています。ユキノシタはその全てを実装しているわけではありませんが、9種類の記号と2種類のラインを表現できます。記号はどの局面においても追加・修正・削除が可能です。

早速使ってみましょう。どの局面でもかまいませんので【操作ボタンの「装飾」をクリック】してください。カーソルが“M×”に変化しました(右図上段)。
 【Shift】キーや【Ctrl】キーをポンポンと押してみてください。カーソルの記号が変わります。Shiftキーによって×→網→黒地→白地→テキスト→青領域→▲→■→●→×と変化し、Ctrlキーだと逆向きに変化します。

記号の追加は【左クリック】、削除は【右クリック】です。カーソルが削除したい記号と異なっていても、(テキストを除き)削除されます。また一つの交点に置ける記号は一つだけです。以前に置いた記号は削除されます。
 白地□や黒地■を碁盤に追加すると、目数を計算して操作ボタンの右側に表示します。

網を除き、全ての記号はその局面のみで表示されます。網(ハッチング)は例外で、白石黒石と同様、ずっと残ります。新たにハッチングを追加するとそのハッチングと入れ替わります。ハッチングを消すためにはハッチングを追加するカーソルの状態で、碁盤の外をクリックします(右図中段)。

碁盤の一ヶ所に置ける記号とは別に、2点間を結んだラインを置くこともできます。【操作ボタンの「ライン」をクリック】すると、カーソルに「/」の記号が表示されます。【Shift】キーや【Ctrl】を押すことで、ライン「/」と矢印「→」を切り替えることができます。
 ラインを引く場合は始点を【左クリック】後、終点までポインタを移動して(右図下段)【左クリック】します。終点までポインタを移動している状態ではラインは半透明で表示されます。その状態で【右クリック】するとキャンセルされます。
 ラインの消去は描画後のラインにポインタを合わせるとラインが半透明になるので、その状態で【右クリック】します。

解説・付箋の編集

解説と付箋も、全ての局面において追加・修正・削除が可能です。
 着手リストの下にあるテキストボックスが、解説を編集する欄です。ボックスを左クリックするとフォーカスが移ります。

適当に文章を書いてみてください。右側のリストに「解説」という文字が入るはずです(右図)。
 着手を前後するとわかりますが、解説もまたその局面のみで表示されます。
 また、コメントを全て削除すると、リスト欄の「解説」も消えます。

対局情報の編集

最後に対局者の氏名や段位、対局の概説といった対局情報(ゲームプロパティ)の編集を行います。
 右側にある【「対局情報」タブをクリック】してください。今まで着手リストや解説・付箋が存在したパネルが切り替わり、対局情報を編集するパネルに切り替わります(右図)。

例えば白氏名(W)に「unitarou」と入力して【「局面制御」タブをクリック】すると、パネル上部に「白:unitarou[ ]」と表示されます。また右最上部のコンボボックスが「1.unitarou vs. (不明)」と表示されます。

棋譜の公開

掲示板等に棋譜を簡単に貼り付けられるよう、ユキノシタでは専用のダイアログを用意しています。
 メニューから【表示(V)→クリップボード形式(B)...】をクリックします。すると、SGFテキストダイアログが表示されます(右図)。

ダイアログでは一行の文字数や公開するタグを選択できます。囲碁サーバや対局ソフトですと、着手に要した時間等を記録しているものもあるので、そういったものを削ってしまうと、何かと便利だと思います。

局面図の公開

この機能はversion2.0.0では未実装のため存在しません。

棋譜と同様、ある局面を掲示板等に簡単に貼り付けられるよう、ユキノシタでは専用のダイアログを用意しています。
 メニューから【表示(V)→現局面をテキスト化(X)...】をクリックします。すると、局面図をクリップボードに保存ダイアログが表示されます(右図)。

3。詰碁の作成

詰碁の作成は、普通の棋譜を作るよりも、少しだけ約束事があります。
 とりあえず、一題作ってみましょう。メニューから【ファイル(F)→新規作成(N)→詰碁(P)→十九路→次黒番】を選びます。

石の配置、撤去

最初に石を配置(配石)する必要があります。碁盤にカーソルを持っていくとカーソルが「st●」と表示されています。Ctrlキーを押すと「st○」が、もう一度押すと通常のカーソルになることを確認してください。またShiftキーで逆順に切り替わります。
 それぞれ黒石を置く・白石を置く・石の撤去を意味しています。【左クリック】で適当に石を置き・消して感覚を掴んでください(右図)。ちなみに黒石の上に白石を置くと、石を置き換えた事になります。

このモードでは右クリックは使いません。石の撤去のカーソルはその場に石があるときのみ有効になります。

この自由に石が置ける状態をユキノシタでは「配石モード」と呼び、「左下の操作ボタンが「配石」になります。ちなみに普通の白黒交互に石を置く状態を「着手モード」と呼んでいます。
 

手順の入力

簡単な黒先白死の詰碁を作ります。今ある石を消して、右図上段のように配石してください。ハネても置いても死ぬ形ですね。

操作パネルの【「着手」をクリック】します。最初に「次黒番」と指定したのでカーソルに●がつきます。

次の手番を切り替えたい場合は、メニューより【編集(E)→「次の手番」を削除】をクリックします。その後、操作パネルの【「着手」をクリック】するとカーソルが黒白半々の記号になります。ここでShiftまたはCtrlキーを押すと石の色が変わりますので切り替えて着手します。

まずはハネ殺してみましょう。操作パネルが「着手」モードであることを確認して【左クリック】で黒ハネ、白オサエ、黒オキです(右図下段)。三目ナカデで白死ですね。

表示領域の制限

詰碁は碁盤の一部しか使わない場合が多いので、そのまま盤面全部を表示すると、間が抜けてしまいます。
 そこで、実際に石のある領域+周囲一路に表示を制限します。メニューから【編集(E)→(ルート)表示領域制限】をクリックしてください。この場合だと、碁盤の左上だけが残ります(右図)。
 元に戻すには【編集(E)→(ルート)表示領域制限解除】をクリックします。

手順の確認

詰碁においては、本譜はそのまま正解手順を意味し、記載されていない全ての着手は間違いと認識されます。

最も簡単な詰碁の作り方はここまでですが、この問題の場合は中から置いても死にます。そこで問題が不完全なことを確認するためにも、この状態で一度動作確認をします。
 右上にある【「この詰碁を編集する」のチェックを外し】ます。すると「詰碁を解く」と同じ画面に切り替わります。

先ほど示した手順のみ「正解」と表示され、他のどの手を打っても「間違い」になることを確認しましょう。例えばハネツイでも間違いですし、単にサガリでも間違い、B19(1の二)のオキは正解手順ですが、これも「間違い」と表示されてしまいます(右図)。

別解の入力

オキも正解となるように問題を修正しましょう。右上にある【「この詰碁を編集する」をチェックし】、黒一手目の局面に移動、変化図モードであることを確認してB19(1の二)を【左クリック】で作成し、その後、着手モードに切り替わったことを確認して【左クリック】で白サガリ、黒ハイと着手を追加します。

ユキノシタでは基本的に、「解答者番(黒先白死なら黒番)から始まる変化図は全て間違い」としています。ですので、変化図を別解とするため、「局面の評価プロパティを」追加する必要があります。
 黒ハイの局面で、メニューより【編集(E)→局面(P)→「正解」を追加】をクリックします。すると右側リストに「正解」と表示されます(右図上段)。これでユキノシタはこの変化図を別解と認識するようになりました。

また、白E19にサガリの時、C19にサガる場合も考えられます。ユキノシタでは基本的に、「出題者番(黒先白死なら白番)は間違えない」と仮定して、出題者番からの変化図がある場合、着手をランダムに決定します。
 そこで、E19サガリの局面で、C19サガリの変化図を挿入、次に黒E19ハネとして「正解」の局面評価を与えると、この場合1/2の確率で白がC19に下がり、黒が正しく応じれば正解となる問題が作成できます。
 つまり、問題に広がりを持たせる事ができるのです。

出題者番が間違えた変化図を作る場合(つまり、その変化図を問題では選択して欲しくない場合)は、変化図の最初の着手でメニューから【編集(E)→着手(M)】をクリック、BM[2]:「大悪手」を追加かBM[1]:「悪手」を追加をクリックします。
 なお、変化図の先頭以外、および解答者番(黒先白死なら黒番)から始まる変化図に、悪手や大悪手の設定をしても、選択の抑制は行われません。

早速確認してみましょう。右上にある【「この詰碁を編集する」のチェックを外し】ます。今度は中から置いても「正解」と表示されました(右図下段)。

まとめると、別解の入力は、変化図を作成後にメニューの【編集(E)→局面(P)→「正解」を追加】をクリックするという流れになります。

失敗の入力

この問題であれば、白が生きるためにはサガリが最善です。黒がハネなかったり、1の二に置かなかった場合、つまりそれ以外のどこに黒が打ったとしても、白がサガリを打って間違いであることをハッキリさせるのは、親切な問題とも言えるでしょう。
 このような「黒が〜以外のどこに打っても、白…に打つ」を表現するため、「パス」から始まる変化図を作成します。

右上にある【「この詰碁を編集する」をチェックし】黒一手目に戻ってください。ここではすでに“●[B19]変化図A”という変化図がありますが、さらにもう一つ、“●[パス]”という変化図を作成します。変化図モードであることを確認して、【碁盤の外側を左クリック】してください。初手がパスの変化図が作成されました。続けて白サガリを打ちます(右図上段)。

ところがこの問題の場合、黒が1の三(C19)に置いた時に白サガリを打ってしまうと、黒1の二(B19)ハイで白死んでしまいます。
 白は1の二(B19)に打たなくてはなりません。そこで、黒一手目にもう一つ、“●[C19] 変化図C”という変化図を持ち、白1の二に打ちます(右図中段)。

ついでに黒ハネツイだ時の失敗図も作りましょう。本譜に戻って、操作パネルの【「変化図」をクリック】(この操作は必須です)、黒三手目にツギの変化図を作成します。その後白1の二に打ちます(右図下段)。この状態で【「この詰碁を編集する」のチェックを外し】て、どれも正しく動作しているか確認してください。

パスから始まる変化図は、「どこに打ってもそこに打つ」を意味するため、「どこに打っても」正しい局面になるかどうか、詳しく調べなくてはなりません。極端な話、パスの次に打った場所に、パスの手で打たれることもあるのですから(この問題ですと、黒初手ハネと初手パスの後の、白サガリに相当します)。
 少なくとも、上記の黒ハネと白サガリのように、パス直後の着手と同じ交点から始まる変化図や本譜を、パスの着手と同じレベルに持っているべきでしょう。
 なかなかややこしいですが、失敗図の変化はかなり便利ですのでぜひお使いください。

詰碁情報の編集

最後に「この問題は…分で〜級」といった情報の追加を行います。
 右上にある【「この詰碁を編集する」をチェックし】、その下にある【「対局情報」タブをクリック】します。すると、着手リストの部分が詰碁の情報パネルに切り替わります(右図)。3.棋譜の編集の時と比べて項目が一部異なります。

以下の文章は「レベル」を「黒段位」に、「種類」を結果と読み替えてください。今後修正する予定です。

レベルは“5級”“初段”といったこの問題の難易度を示します。種類は“黒先白死”“白先コウ”といった結論を意味します。
 この問題でしたら種類は“黒先白死”レベルは“30級”が適当ですね。

4。詰碁問題集の作成

問題集は、単に詰碁ファイルのフォルダ名をsgf形式で記載したリストです。手作業で作れなくもないのですが、煩雑なので編集機能を用意しました。
 メニューから【ファイル(F)→新規作成(N)→問題集(D)】をクリックます。すると問題集ファイルを保存するディレクトリを指定するダイアログが表示されます。このチュートリアルではC:\Program Files\Yukinoshita2を指定します。
 指定してOKボタンを押すと、問題集編集画面が開きます(右図上段)。

問題集に含めるファイルを指定します。画面右下にある「追加(A)」ボタンをクリックすると、ファイル選択ダイアログが開くのでファイルを選択します(複数可)。
 問題集ファイルと異なるドライブにあるファイルを指定することはできません。注意してください。ここではsampleにあるshikatsuFD001.sgf〜shikatsuFD005.sgfの五題を入れることにします(右図中段)。

問題のシャッフルなどのオプションは「局面制御」タブのオプショングループで、問題集のタイトルや説明などは「対局情報」タブのテキストボックスるにら入力します。

このあたり、入力したデータが使われていないなど未実装な所が多いです。今後対応する予定です。

最後に【「この詰碁を編集する」をチェックを外して】動作確認をしてください。

5。最後にお願い

ユキノシタは詰碁問題を作成することが出来ますが、出版されている詰碁の本における著作権は、通常は再配布を禁止しているので、問題をそのままユキノシタで作成しても、一般にWeb等で公開することは出来ません。

そこでユキノシタのユーザの方々には、オリジナルの詰碁をたくさん作って「著作権はあっても再配布を禁じず、修正も自由」な形でどんどん公開していただきたいのです。

詰碁問題(特に簡単な問題)は、多くのユーザで共有されるべきだと、うにたろうは考えます。どうか皆様の御協力を、切に願う次第です。


boss@unitarou.org