Tcl パッケージはツールコマンド言語 (Tool Command Language) を提供します。
本パッケージとこれに続く 2 つのパッケージ (Expect と DejaGNU) は、GCC および Binutils などにおけるテストスイートを実行するのに必要となるためインストールするものです。 テスト目的のためにこれら 3 つのパッケージをインストールするというのは、少々大げさなことかもしれません。 ただ本質的ではないことであっても、重要なツール類が正常に動作するという確認が得られれば安心できます。 本章ではテストスイートを実行することは必須ではないため、実行しないものとしていますが、それら 3 つのパッケージは 第 6 章で行うテストのために必要となるものです。
ここで利用する Tcl パッケージは LFS におけるテストを実施するための最低限必要なバージョンです。 完全なパッケージについては BLFS Tcl procedures を参照してください。
Tcl をコンパイルするための準備をします。
cd unix ./configure --prefix=/tools
パッケージをビルドします。
make
コンパイルが終了しました。 前にも述べたように、この章にて一時的ツールのテストスイートを実行することは必須ではありません。 しかしテストスイートを実行するなら、以下を実行します。
TZ=UTC make test
Tcl のテストスイートは、特定のホスト環境において失敗することがありますが、その原因はよく分かっていません。
したがってテストスイートの失敗は驚くことではなく、さして重大なことではありません。 TZ=UTC
はタイムゾーンを協定世界時間 (Coordinated
Universal Time; UTC) としても知られる時間に設定します。 ただしこれはテストスイートを実行する時だけの設定です。
こうしておけば時刻に関するテストが正しく処理されます。 環境変数 TZ
については 第 7 章にて詳しく説明しています。
パッケージをインストールします。
make install
インストールされたライブラリを書き込み可能にします。 こうすることで後にデバッグシンボルを削除できるようにします。
chmod -v u+w /tools/lib/libtcl8.6.so
Tcl のヘッダーファイルをインストールします。 これらは次にビルドする Expect が必要とするファイルです。
make install-private-headers
必要となるシンボリックリンクを生成します。
ln -sv tclsh8.6 /tools/bin/tclsh