3. 使用方法

3.1. GSHHS データファイルから必要なデータを抜き出す

GSHHS のデータには全世界の海岸線データが入っているので、非常にサイズが大きく このままでは処理に時間がかかります。そこで、必要なデータだけを抜き出します。

AutoCoast のツールはすべてコマンドプロンプトから起動します。 「すべてのプログラム」→「アクセサリ」→「コマンドプロンプト」を開き、以下のように 入力してフォルダを移動します。

	cd AutoCoastをインストールしたフォルダ名
      

ついで、GshhsExtractor ツールを使ってデータを抜き出します。

	GshhsExtractor [オプション] GSHHSデータファイル名 最小経度 最大経度 最小緯度 最大緯度
      

GSHHS データファイルには何種類かありますが、もっとも精細なデータを使うなら 'gshhs_f.b' ファイルを指定してください。緯度/経度は度単位で入力してください。

例: 日本周辺のデータを取り出すときは、'GshhsExtractor gshhs_f.b 125 150 25 50' と します。

[Caution] 注意

グリニッジ子午線をまたいでデータを取り出すことはできません。

この他、オプションをいくつか指定することができます(通常は指定する必要はありません)。

3.1.1. -n : スムージングの抑止

GSHHS の海岸線データは、かなりがたつきがあるためそのままシーナリにすると あまり見栄えがよくありません。 このため、GsshsExtractor は海岸線データをスムージング(平滑化)するように なっています。

-n オプションをつけると、このスムージング処理を行わないようにすることができます。

3.1.2. -i : 特定ポリゴンの除外

海岸線データの処理にはかなりの時間がかかることがあります(数十分〜数時間)。 もし、ユーラシア大陸のデータが不要ならば、'-i 0' のようにオプションをつけることで、 0 番ポリゴン(ユーラシア大陸のポリゴン)を除外するとかなり高速化されます。

3.2. シーナリデータファイルを生成する

シーナリデータファイルを生成します。これには autocoast ツールを使います。 使い方は以下の通り。

	autocoast [オプション] min_x min_y max_x max_y
      

引数を使って、シーナリを生成する「セル」の範囲を決めます。 「セル」は海岸線シーナリで使われるエリアの単位で、全世界の東西方向に 768、 南北方向に 512、計 768 x 512 = 393,216個のセルが地球表面上に存在します。

autocoast では、セルのX座標(東西方向)、Y座標(南北方向)の範囲を指定することで、 生成するシーナリの範囲を決定します。

なお、セルの X / Y 座標は以下の式で求められます。

  • X = (東経 + 180) / 360 x 768

  • Y = (90 - 北緯) / 180 x 512

自分で計算するのが面倒な場合は、Coast Line Maker などのツールに計算機がついているので それを使うとよいでしょう。

例を示します。

	autocoast 675 156 676 158
      

オプションには以下のものを使用することができます。

3.2.1. -d : 緯度/経度指定

-d オプションを指定すると、セル番号の代わりに緯度/経度をそのまま指定することが できます。この場合、引数には最小経度、最大緯度、最大経度、最小緯度の順に指定します。

3.2.2. -l : 地表エリアの幅指定

海岸線の内側の一定幅のエリアを陸地ポリゴンで埋めます。 このオプションは、海岸線内部に予期しない水面ができてしまったときに使用します。

1つのセルは 32 x 32 個のエリアからなっています。 海岸線の内側に向かって、-l オプションで指定した距離のエリアまでを 陸地ポリゴンで埋めます。デフォルト値は2になっています。

3.2.3. -t : VTP テクスチャ名の指定

海岸線を描画するときに使用する VTP ポリゴンのテクスチャ名を指定します。

デフォルト値は "1029" です。これは波効果のある砂浜のテクスチャです。

3.2.4. -w : VTP テクスチャ幅の指定

海岸線を描画するときに使用する VTP ポリゴンのテクスチャの幅をメートル単位で指定します。

デフォルト値は 80m です。

3.2.5. 使用例

例を示します。

	  autocoast -l 1 -t 1032 -w 50 -d 135 55 155 30
	

3.3. コンパイルして BGL ファイルを生成する

autocoast は、シーナリデータを lwm_*.asm と vtp_*.asm の2つのファイル出力します。 これは、BGL Compiler のソースファイルなので、コンパイルしてやらなければなりません。 コンパイルを行うには compile.bat ファイルを実行します。このファイルは自動的に生成 されています。

	compile.bat
      

これで、lwm_*.bgl と vtp_*.bgl の2つのファイルが生成されます。 これを Flight Simulator のシーナリデータベースに登録すれば、シーナリが表示されます。